こんにちは。ザキと申します。閲覧くださりありがとうございます!
また旅へ花粉症のかほで会はん 平野皓大
掲句に、非常に惹かれています。
たいへん感動させていただいたので、今回は平野皓大作、「灯台」についてご紹介いたします。
「灯台」は連作のタイトルです。
掲句を含み、15句が並んでいます。
発表は2025年04月20日。
「箒」というブログに掲載されました。
同ブログには、
短詩形ブログ
あるいは、
短詩形webサイト
という文言が添えられています。
また、掲げられているメッセージをお借りいたしますと、
「帚」(ほうき)とは、平野・丸田・柳元・吉川の四人がのんびり活動する場です。
俳句・短歌・川柳等短詩作品の発表と鑑賞を不定期に行っています。
と、あります。
鑑賞も、川柳と短歌は合わせて9ページ、俳句はその倍以上のページ数、読み応えあるものが並んでいます。
加えて、その他、というカテゴリーもあります。
ここには、文通、としての意見交換や、ゲストを招いての座談会の記録が収まっています。
なかなか飽きられそうにない、ボリューミーなブログです。
まだ覗かれていない方は、ぜひぜひ一度チェックしてみてください。
さて、作品に戻ります。
また旅へ花粉症のかほで会はん 平野皓大
一読して意識されるのが、その韻律です。
「花粉症」となれば、目や鼻から体液があふれ、咳が止まらずと、顔面は悲劇的状況に陥ります。
それを、中七から下五にまたがるように「かほ」と置き、語割れを生じさせることで表現されています。
脱帽です。
いかに顔が大変なことになっているかが想起されます。
その上で、「旅」という特別なことを話題し、続くのが、「会はん」と別離に抗う強い宣言です。
格好いいことを言いながら、「花粉症」に叩きのめされている作中主体。
その非常に大きなギャップが、抜群のユーモアを生んでいます。
さらに、明るい雰囲気をもたらすア段の音の多さも見逃せません。
計7音あります。
しかも、上五と中七の頭に、結びの「会はん」と、全体に散りばめられつつ、要所にしっかりと据えられています。
そのため、韻文性がひしと保たれており、語割れの破調句ということが気になりません。
おもしろくて、明るい。
「旅」の句としてうらやましくなるほど、素敵な作品です。
かけがえのない時間の凝縮が、掲句にはあります。
「灯台」15句は、同様に目も覚めるような作品ばかりです。
掲句の次に印象深かった作品は、10句目です。
そして、ベスト4となれば、さらに3句目、7句目を加えます。
この3句目と7句目について、優劣はどうにも付け難いです。
あとからじわじわと、(いや、7句目すごくね・・・・・・?)となっています。
いかんせん、全部ひっくるめて15句ですので、あまり引用するのは気が引けます。
実際どのような作品か、「箒」にてぜひご確認ください。