こんにちは。ザキと申します。閲覧くださりありがとうございます!
この度、縁あって明日香村に俳句を作りに行ってまいりました。
おかげさまで大変良い思い出となりましたので、ここに記録いたします。
明日香村の魅力をお伝えできるものとなっておりましたら、望外の喜びに存じます。
なお、恐れながら拙句も掲載いたします。お目汚し失礼いたします。
さて、縁あってと申しましたが、訪れるきっかけは、明日香村在住の俳句の先輩のお誘いによるものです。
早起きして、橿原神宮前駅を出て、バス停。09時51分。

バスは赤かめと名付けられており、観光シーズン以外は1時間に1本の運行です。
間に合わねば一大事です。
余裕をもって停留所の日陰に立っていましたが、すでに十分に暑いです。
無事にバスに乗れます。
乗客は決して多くなく、全員が椅子に座れました。
飛鳥寺、古墳、酒舟石、橘寺などなど。
名所はたくさんあります。
ただ、明日香村にはその先輩のお誘いで、以前に何度も訪れています。
今日は、飛鳥坐神社だけ。
土地に久々のご挨拶を申し上げて、あとは気ままにうろうろしよう。
そればかり考えて、バスに揺られていました。
飛鳥大仏駅で降車します。
歩いて、ほどなく見えてきます。

お社に近づくと、途端に聞こえてくるツクツクボウシ。
ふと鳥居の脇の四阿の辺りに目をやると、何匹もの蜻蛉が集まって飛んでいました。
一礼して、鳥居をくぐります。
ほとんど日の差さず、薄暗い石段。
しかし、不気味という気持ちはまったく起こりません。
空気の変化を、肌身で理解します。
別世界。
しずかに肺をふくらませ、境内へ。

石段を登りきると、いっぺんに明るくなります。
拝殿はもう間近です。
お財布をごそごそやって、お賽銭を用意します。
ほかの参拝客は見当たりません。
そうして、いよいよ、ガラガラ鳴らす鈴の前に辿り着きます。
二礼二拍手。
公式ホームページによりますと、飛鳥坐神社の本社の御祭神は四柱です。
大国主命の御子神の八重事代主命。
その妹の下照姫命。
五穀豊穣、家内安全、事業安定、国家安泰の神様の、高照光姫命。
大国主命の御子神で、武勇掲揚の神様の、建御名方命。
ただ、やはり奇祭として名高い「おんだ祭」のイメージが強いのではないでしょうか。
豊穣。子宝。縁結び。生育安全。
あたたかさと、やすらかさと。
居心地の良さを感じながら、当初の予定通りにお参りを済ませます。
落ち着いた心持ちで、うろうろします。

残暑の熱気に、ときどきひんやりしたものが入り混じって、そこへ、明日香らしいおだやかな風。

ゆらゆら進んで、ひらけたところに出ます。
いちおう、俳句を作りに来たのですが、頭の中にわずかな季語が散らばるだけで、形になりません。
それでも、良い気分で歩いてしまいます。
結局、奥の社までお参りして、(秋風、素風、爽籟、色なき風・・・・・・どれもしっくりこんな)という具合です。
しかし、(ここで歯ぁ食いしばって気張るんもなんかちゃうか・・・・・・)と、お気楽に引き返すことを決めます。
先輩との約束の時間には、まだまだ余裕があります。
どこに目を向けようと、のどかな風景なのが明日香村です。
焦る気持ちは微塵も湧かず、息をしていることに心地よさを感じるばかりです。
拝殿も、過ぎて。

左に曲がれば、外の鳥居へ下りる石段に続くところです。
なぜだか、この景色に写真を撮るくらい惹かれて、無意識に立ち止まります。
そして、ツクツクボウシ。
間近で鳴いているものが止んだかと思えば、遠くからの鳴き声が聞こえてきます。
つくつくの止みつくつくの遠音かな
そのとき、できました。
ずっと「秋風」で作ろうとしていたため、不意に浮かんだ瞬間、不思議な感覚をよけいに覚えました。
偉い先生からすれば、とんでもない駄句かもしれません。
ただ、この一瞬は、かけがえのないものです。
すこし興奮しながら、石段を下ります。
鳥居。神域を出て、一礼して。
蜻蛉は変わりなく、四阿の辺りを飛んでいました。