こんにちは。ザキと申します。閲覧くださりありがとうございます!
今回ご紹介いたしますのは、浅煎りでも深煎りでもおいしくいただける品種です。
さて、あまり引っ張らずお伝えいたしますが、ピンクブルボン種はご存知でしょうか? コロンビアで生まれたとされ、その名の通り、普通は赤いはずの実がピンク色に熟す希少な品種です。
今でも、この品種を初めて飲んだ時のことは鮮明に思い出せます。
一口含んでみてすぐ、ほどよい酸味がパッと広がったのですが、それからが本番で、もうとんでもなかったです。
何と言っても、味のグラデーションとでも呼ぶべき奥行きの豊かさが、これまで飲んできた珈琲とは本当に別格でした。ほんの少しでも舌を動かすと、まるで万華鏡のようにくるくると味が変化してゆきます。
そのため、(もうええかげん飲んでもかまへんか・・・・・・? いやまだもったいないか・・・・・・?)と、ずいぶん戸惑ってしまい、なかなか嚥下できませんでした。
味はさまざまなものが感じられたのですが、私の舌が鈍いために、たとえば、(これはナッツと・・・・・・レーズンやな)などと、具体的に捉えられなかったことが悔やまれてなりません。
なお、インターネットを逍遥してみますと、多くのサイトで魅力として打ち出されているのが、柑橘系のフレーバーの存在です。ただ、その他の風味については、キャラメル、りんご、蜂蜜など様々な表現が見受けられます。
やはり、このピンクブルボンは抜群に多様な味が楽しめる品種だと思えてなりません。
なのでぜひぜひ、実際に召し上がっていただけますと幸いです。
以下は、当時の回想です。
たとえば、村上春樹には、1971年4月1日の神宮球場で、デイブ・ヒルトンが先頭打者ツーベースを放った瞬間、突然に小説を書くことを思い立ったというエピソードがあります。
私も、そんな風に劇的で天才的な感じで、ピンクブルボンに出合った日付を覚えていればよかったのですが、もうすっかり忘れてしまいました。
とはいえ、2025年の5月の土曜日ということだけは覚えています。
そもそものことを申しますと、私は俳句だけが趣味でした。しかし、そのころすこし考えていることがありました。
作品(らしきもの)を考える際、「けり」を用いることが多いのですが、俳句に興味のない方には、ニュアンスがしっかり伝わるとはとうてい思えません。
そのため、べつに俳句が好きでない方とも楽しく過ごせるようにと、趣味を模索しておりました。
そうして、自宅で一人で楽しめて、奥深そうな珈琲の世界には、ピンクブルボンに出合う前から興味を持っていました。
そんな折、運命的に都合の良いことに、家の近所に専門的な珈琲店を発見できたのです。
それがこのお店です。コペとはハワイ語で珈琲を意味します。
オリジナルキャラクターが大変可愛らしく、マスターに「この猫さん可愛いですねー」とお伝えしますと、
「あ、ホワイトタイガーです」とお答えいただいた思い出もあります。
そして2週間に一度、休日になりますと、東ティモールのゴウララを100グラム、深煎りで豆のままいただくのがルーティンとなりました。
このゴウララは、口当たりは濃くしっかり目なのですが、後味はすっきりとしていて、出勤前に飲むのにベストでした。
マスターには珈琲の好みについて、大変ふわふわとしたことしかお伝えできなかったのですが、それでもこうも的確にぴったりの味に導いてくださって、本当に感謝しかありません。
また、ある日は、焙煎の完了を待っていますと、(おそらくは)常連さんに、「最近ラオスからブッ飛んだのが来たんですよ~」と笑顔でおっしゃって、それから弾み続ける会話を傍目にすることもありました。
私は、こんな風に『楽しい』を共有できる人になれたらどれだけ素敵だろうと思わずにはいられませんでした。
コペさんでは豆の販売だけでなく、珈琲のテイクアウトもされています。
ただ、私はなんとなくそれをせず、家で挽く豆だけをいただいていました。
しかし、その日は特別でした。
その週は都合により、勤務が22時までとなる週で、かつ、ちょうどゴウララの蓄えが無くなる週でもありました。
そして、土曜日。眠い目をこすってコペさんに来て、不意に、(一週間がんばったし、珈琲もろてもええか・・・・・・)という考えが頭をよぎりました。
それで、おすすめされたのが、ピンクブルボンでした。
本当に、プロの方が良い豆で淹れてくださると、珈琲はこんなにもおいしいのかと、ふだんから珈琲を飲んでいる分、いっそう強く感動させられました。
そして、飲み干す前に、気持ちは決まっていました。
珈琲最高、バリスタになろう、と。